東京在住の一児のママ。元某大学の英会話講師。
卵と乳製品のアレルギーを持つ息子のために日々レシピを研究中。息子のアレルギーをきっかけに、ビーガン、マクロビオティックを経てローフードと出会う。
現在はローフードマイスター練馬校講師として随時ローフードレッスンを開講。
ブログ「志乃のローフードキッチン♪」 http://healthyliving.cocolog-nifty.com/
ローフードマイスター練馬校 http://shinoskitchen.jimdo.com/
発酵食品と聞いて、みなさんはどんな印象をお持ちですか?
“味噌やぬか漬けしか思い浮かばない”“作るのが難しそう”“臭い”“地味”・・・・・・。
もしこんなマイナスイメージをお持ちの方でも、これをキレイに払拭してくれる、発酵マニアの女性にご登場いただきます。
今回はローフードをメインとした料理研究家・志乃(しの)さんに、発酵食品のある暮らしについて、レシピとともにお話をうかがいました。<いきいきペール>をフル活用した驚きの美味しさを、あなたもぜひ体験してみてください。
取材日:2013/03/13
これが発酵の美味しさです。
妻と二人で駅の改札を出ると、すぐに笑顔で志乃さんが迎えてくれました。駅からご自宅までは5分ほどの道のりでしたが、その間、志乃さんは、いきいきペールや発酵食品について、それこそ目を輝かせて話してくださいました。ご自宅に着いて案内されたのは、広々としたダイニングキッチン。ローフードマイスター練馬校としても利用されるこのスペース。まるで最初からスクールとして使用することを想定されたような、明るい陽射しが優しく差し込む、とても心地よい空間です。あいさつもそこそこに、志乃さんは<いきいきペール>で作ったいくつかの料理を出してくれました。「新たまねぎをはちみつとお酢と塩麹でつけた漬物」「シトラス&ジンジャーの発酵コーディアル(柑橘酵素ジュース)」「ふきみそ」「ピクルス」や、ローフードの定番「ブルーベリーのジュース」「ローチョコムース」もごちそうになっちゃいました。
「酵素ジュースは普通の瓶だと10日くらいかかるんですけど、いきいきペール(以下、ペール)なら2~3日でできるんです。水は入れないでフルーツのエキスだけ、それと砂糖。砂糖は味付けというよりも、菌のエサなんですよね。ペールに砂糖を入れると発酵作用が進むんです。できたジュースは水や、時には炭酸で割って。ふきみそはメープルシロップとペールで作ったお味噌、水でさらして苦みを抜いたふきを混ぜて作ったんです」
酵素ジュースというものをはじめて飲みましたが、ひと口飲んで、すぐに美味しいと思いました。オレンジやみかん、ゆずなどの柑橘系を使った酵素ジュースには、シナモンスティックやクローブも使われているそうで、妻はその発想がすごいと感心しきり。ふきみそのふきは生なので香りがたち、まろやかな味噌との相性が抜群でした。そして、初めて食べたローフード。特にカカオとアボカドを使って作られたローチョコムースは、まさにチョコそのもの。不思議な美味しさです。志乃さんはイギリスにいたこともあり、現地でスパイスやハーブ、アロマテラピーの勉強をされたとか。当時学んだ知識が、発酵食品を昔ながらの料理にとどまらない、新たな味付けや彩り、香りを加えて、志乃さんのオリジナルレシピへとつながっているのだと思います。
健康に導いてくれたローフード。
「ペールは、インターネットでアンチエイジングとか抗酸化について調べてて、その中に抗酸化のバケツがあるっていうので買ってみたんです。ちょうどリジュベラックを作りたいとも思ってて。小麦や玄米などを水に入れて発芽させて発酵させ、上澄みをこして飲むものなんです。普通のガラス瓶でつくるとなかなか美味しくできないんですけど、ペールで作るとほんとに美味しくなるんです。失敗がないんですよね。リジュベラックは、腸の調子を整えて、きれいにしてくれるので飲まれている方も多いんですよ」
体の中には生命維持に大切な「酵素」という成分があります。消化の悪いものばかりを食べていると、そのために酵素を常に分泌することになって、代謝の方に酵素をまわせなくなります。その結果、例えばがん細胞を見落としたり、肌の修復ができなかったりといった、生命維持の方がおろそかになってしまうことも。そこで加熱した食材よりも、フルーツや野菜など、消化しやすい食材を中心に食事をとることで、生命維持のほうに酵素をまわす。これがローフードの考え方。ペールで作られる発酵食品は、いわば消化の方向に食材が進行している食べ物なので消化もよく、ローフードの世界でも取り入れられているそうです。
「ローフードを食べる前は肉と炭水化物ばかりの食事で、体が疲れたらそれを食べれば元気になると思ってたんですけど、でも逆で消化酵素をいっぱい使ってよけいに疲れてました。ローフードを食べるようになって、よく眠れるようになったし、活動的になったし、何より私は15kg痩せて、主人は13kg痩せて、すごいでしょう(笑)」
ペールのある暮らし、ペールで作る日常食。
ペールを使って日常的に塩麹、味噌、酵素ジュース、漬物などを作っている志乃さん。変わったところではネットで買った紅茶キノコをペールで増やしているとか。発酵を進めて酸っぱくして、お酢のかわりにも使っているそうです。
「息子がアレルギーだとわかってからは、家での食事はすべて手作りしてます。朝食・昼食はスムージーや簡単な食事で、夕食は味噌とか塩麹で漬けたものを食べてます。私とは逆に、主人は朝しっかり食べて、夜はあまり食べないですね。それぞれのリズムで食べたいものを食べる感じです。毎日ローフードを意識していると疲れちゃうので、外食すれば普通に食べるし、主人が焼肉を食べたいといえば作りますよ。でも今までは肉だけとか肉の後にご飯だったのをやめて、最初はキムチとか、野菜とか、発酵系と生野菜を食べて、その後にお肉を食べて。そうすると量も減りますしね。いまはペールを2個しか持っていないので、使いまわしが大変です(笑)。家族が食べるようにひとつを使って、もうひとつは常に空の状態にして、料理教室や来客があるときなどに、速く発酵を進めたいものを入れておいたりするんです。常にフル稼働って感じ」
発酵は家庭の味です。
塩麹をはじめ、発酵食品がブームとなっている昨今。しかし、何を作ったらいいかわからない、作り方が難しい、失敗しちゃったという人も多いと聞きます。
「ペールで作ったものって、できたからそれをなくなるまで食べ続けるというのは、やっぱり飽きるんですよね。だからアレンジって大切なんです。でも、それを伝えるのは難しいんですよね。みそができました、じゃあみそをどう使うか。毎日みそ汁ってわけにもね。
震災後の今の時代、食べ物について心配している方も多いと思いますけど、ローフードや発酵食品って、自分で作るものだから食材をすべて選べるし、家族が安心して食べることができると思うんです。だから、私がブログや料理教室でローフードや発酵食品を教えることで、そんなに心配しなくていいんだよっていうメッセージにしたくて。あと、もし発酵食品を作ってて失敗したとしても、ぜひ作り続けてほしいんです。もともと家の中にどんな菌がいるかは家それぞれです。私も最初は失敗してたりしたんですけど、たぶんいい菌が増えたんでしょうね、いまは失敗もなくなって。
ペールに入れて発酵させる食材は、1日1回、手でかき混ぜることが大切なんです。教室やお客様に出すものはおたまでかき混ぜますけど、自分で食べるものは自分の手。自分の体から10cmぐらいは常在菌で守られているらしんですよ。だから作る時に自分の菌をまぜる。それが美味しくなるコツなんです。うちでは家族みんなで混ぜてるんですよ。まったく同じレシピで作ったものを持ち寄っても、人によって全然味が違います。でもそれが家庭の味なんです」
志乃さんの発酵生活、いかがだったでしょうか。発酵食品って作るのが面倒で難しい!? いえいえ、志乃さんが毎日毎日、楽しく発酵生活をおくっている姿、見えてきたんじゃないでしょうか。何より安心で体に良くて、美味しい。そんな食べ物、あなたもぜひ作ってみませんか。まずはジュースやヨーグルトから、始めてみては…。
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